変性(へんせい) -脊椎の変性-

脊椎は荷重を受け、動きが繰り返されることで、いろいろな部分に変性が生じてきます。程度の違いはありますが加齢に伴い、誰にでも起こることで、以下に具体的な例をあげます。

■椎間板の変性
椎間板は外側の丈夫で柔軟性がある線維輪という部分と、その内側にあるゼラチン状の髄核と呼ばれる部分で構成されており、以下が大まかな変性の過程です。

・線維輪への亀裂
 線維輪はバウムクーヘンのように薄い層になっているため、最初
 その層に沿ってひび割れ易いが、やがて放射状にひび割れるよう
 になります。
・椎間板全体の水分の減少
・椎間板の狭小化
 空気のぬけたタイヤのように椎間板がつぶれてきます。
・不安定性の出現
 椎間板がつぶれることで、その上下の椎骨が、正常な状態より
 大きく動いてしまいます。
・可動性の減少
 不安定な状態が続いた後に、椎間板がつぶれた状態で柔軟性が
 なくなり、動きがなくなってきます。

■椎骨の変性
椎骨の変性は、不安定性の出現が大きく関係しており、椎間板に接している部分や関節部分に顕著に現れます。
椎間板に接している部分を横から見て、鳥のくちばしのように骨が伸びているのが骨棘(こっきょく)とよばれるものです。
椎間板と共に上下の椎骨を支えているのが、背中側にある二つの椎間関節です。この部分も不安定な状態が続くと、厚く変形してきます。

■靭帯の変性
靭帯の変性も、不安定性や加齢的な変化によります。
椎骨を支えている靭帯には、前縦靭帯や後縦靭帯、黄色靭帯、棘間靭帯、棘上靭帯などがあります。
変性の例としては、肥厚や骨化現象などがあります。

○腰椎の変性(上から)

1:椎間板 A:椎間板の亀裂
2:椎間関節 B:椎間関節の肥厚
3:黄色靭帯 C:骨棘(こっきょく)
4:馬尾 D:黄色靭帯の肥厚
5:神経根


○腰椎の変性(横から)

1:椎間板 A:椎間板の亀裂
2:椎間関節 B:椎間関節の肥厚
3:椎体 C:骨棘
4:後縦靭帯
5:前縦靭帯


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